地域発のumamiの素材「きのこ」を訪ねて
vol.3 ぶなしめじ編

中野市のぶなしめじ工場の先駆け

ぶなしめじもまた、長野県中野市で多く栽培されているきのこです。エノキタケに次ぐ生産量を誇ります。
そんなぶなしめじの大型工場化に中野市で初めて成功したのが、株式会社デリッシュガーデン。オギワラグループのエノキタケ工場すぐ近くにあり、一帯はさまざまなきのこ生産会社の集積地です。各社は決してライバルではなく、JA中野市を中心とする協力体制のもと、地域全体できのこ栽培に取り組んでいます。

工場を案内してくれたのは、代表取締役の池田正博さん。家業できのこ生産に取り組んでおり、隣接するエノキタケ工場は父が管理をしています。

同社がぶなしめじの生産を始めたのは7年前。きっかけは、次世代を支える若手生産者が集まり、グループとして新しいきのこの培養センターを立ち上げようと考えたことでした。

ぶなしめじはもともと市内に個人生産者がいたため、生育方法は確立していたものの、やはり大規模生産となると室内の環境を保つ難しさが伴い、苦労も少なくなかったとか。それでも菌の品種研究を重ね、およそ2年がかりで安定生産が実現しました。こうした努力により、いまでは市内の多くの生産者が、ぶなしめじの大規模生産に取り組んでいます。

株式会社デリッシュガーデン代表取締役の池田正博さん。「JA中野市ぶなしめじ部会」の部長も務める。

ここでも、ほかの工場と同様、培養センターから培地を仕入れ、生産しています。培養期間はほかのきのこより長く、70~90日。それを菌掻きし、発芽を促します。

菌掻き処理前(左)と後(右)の培地。

ぶなしめじは特に乾燥に弱いきのこ。菌掻きの段階で加水をし、さらに芽出しの際は触媒となる有孔ポリエチレンフィルムを被せて乾燥を防ぎます。小さい穴がきのこの呼吸を妨げません。

白い有孔ポリエチレンフィルムが培地の乾燥を防ぐ。

菌掻き後、12日目のぶなしめじ。芽が出てきたら有孔ポリエチレンフィルムは外す。

13日目で芽出し室から生育室へと移動させます。室温はどちらも15〜16℃。加湿と換気と光できのこの傘を作り、ほかのきのこと違って24時間光を当て続け、さらに風も当てることでギュッと丸い株にします。こうして、22日目で収穫です。

この工場では1日2500本、週5日出荷している。

そんな中野市のぶなしめじの特徴は、大手きのこメーカーのものより株が大きくボリュームがある点。

「味や食感もうちのほうがおいしいと思います」(池田さん)

そもそも、ぶなしめじはほんしめじより苦味がなくクセがないため、どんな料理も“きのこ風味”にしてくれる魅力があります。また、出汁をとる食材としても有効で、池田さんのおすすめ調理法は煮物。また、炒め物にもよく合います。

きのこをたっぷり使った「ガーリックアンチョビ炒め」。

「ぶなしめじはメインになる食材ではなく、味も極端に目立つものではありません。だからこそ、引き立て役として最適。さまざまな料理に“うまみを足す”イメージで食べてもらえるといいですね」(池田さん)

地域発のumamiの素材「きのこ」を訪ねて
vol.1 エリンギ編
vol.2 エノキタケ編
vol.3 ぶなしめじ編
vol.4 なめこ編