地域発「うまみを作る人」現地レポート 前編
名古屋発「社員のお社食、作ってます!」
社員が作る社員のための健康づくりワンプレートごはん

「社食」と聞いて、みなさんはどんな風景を思い浮かべますか?職場の大きな食堂で大勢の人がそれぞれ好みのメニューを食べているイメージでしょうか。
今回ご紹介するのは、健康のための社食に取り組んでいる株式会社Arc。通常のデスクワークをこなしながら、「社員の社員による社員の健康のための食事づくり」職場の健康をサポートしている総務担当・近藤汐織(こんどうしおり)さんのうまみインタビューをお届けします。
社内では「しおりん」の愛称で親しまれている笑顔のカワイイ近藤さんのアイデアワンプレートレシピは、とっても参考になりますよ!
きっかけは、Instagram

日頃から美味しいものを探しているうまみスタッフがInstagramで偶然見つけたのが自分で作った社食を投稿している、株式会社Arcの近藤さんでした。
Instagramで、社員の健康を考えた昼食を記録用に投稿している近藤さん。総務部のお仕事をするかたわら、毎日社員の健康管理に気を配りながら社食を作っているのだそうです。
美味しそうな投稿を見続けているうち、なぜ社員が社食作りをしているのか?どんなきっかけで?どう作っているの?などなど、 実際に近藤さんにお話を聞いてみたくなったうまみスタッフは、名古屋のオフィスに向かいました。

小腹がすいたときのラーメンが「みんなの社食」へ

近藤さんが社食を作り始めたのは2015年の7月ごろから。それまで小腹が減ったら各自でラーメンを作っていた社員さん達。時には、仕事で手が離せないメンバーから、「ラーメン作ってくれない?」「コンビニに行ってきてくれない?」とお使いを頼まれることもあった近藤さんは、その都度リクエストに応えていたそうです。
そんな中、各自好きなものを好きなタイミングで食べる社員の中に、ジャンクフードをの食べ過ぎからか、健康診断で思わしくない結果が出てしまった人が現れます。
「うーん、この状況はあまり良くないねえ・・・」
「食事を見直したいけど…難しいよね」
「じゃあ、会社でご飯を炊いてみようか?」
という社内の雑談の中から、
「コンビニでウインナーや卵を買って、焼いてみたらいいんじゃない?」
「だったらコンビニで買えるものには限界があるし、ネットスーパーで発注したらいいんじゃない?」
など、社長もふくめて食事改善の意見交換をしているうちに、社内でご飯を炊いて食事をとる人がだんだんと増えて行きました。

そのうち、「食べる人数が多い食材をまとめて発注してみんなの分を作っちゃいましょうか」と、もともと料理を作ることが好きな近藤さんが提案し、「試しにやってみよう!」と社員の健康を考えた食事提供が始まったそう。

気がつけば3年が経ち、体にいいもの、社員にとっていいことはどんどん取り入れ、メニューのバリエーションも増えてきました。Instagramの投稿からは、楽しく作って美味しく食べている様子が見えてくるようです。

業務内容:デスクワーク 兼 シェフ???

近藤さんの1日の業務は、社食作りから始まります。出社して1時間半の間に、社食希望者10人分の昼ごはんを作り、午後はデスクワーク。
一人分ずつワンプレートに綺麗に盛り付けられた社食は、各自好きなタイミングで食べるシステム。共通のお弁当が社員みんなの社食になっているようなイメージです。

月曜日に献立を考えて、一週間分の食材をネットスーパーで発注するのも近藤さんのお仕事。献立作りや食材選びのポイントは、いかに短い時間で作れるか、だそうです。
「時短が一番ですね」と話しながらも、Instagramに登場する社食プレートには、ご飯とともに近藤さんお手製の主菜と副菜の3品がしっかり盛り付けられており、短時間で作ったとは思えないクオリティです。

翌日のメニューの仕込みも完璧です!

事務職をこなしながら、社食をつくるということに苦労や戸惑いはなかったのでしょうか。
「社食作りは、業務命令という感じではなく、社員の健康や食生活を心配する中で始まった取り組みだったので、戸惑いは感じませんでした」とのこと。

今まで作ったメニューは、月別の献立表データにまとめられて、いつ、何を食べたのかが一目瞭然にわかるようになっています。同時に材料費もまとめられており、「さすが!」の一言です。

献立表には、体に良さそうなおかずの数々がずらりと並んでいます。バランスや彩りも考えられたおかずはどれも美味しそうで、「この会社で働いて社食を食べたい・・・」と、取材中のうまみスタッフのお腹も思わず鳴ってしまうほど。

専用スタジオ!?でインスタグラム用の撮影をする近藤さん

ちなみにこの日のメニュは、
※せせりの山賊焼、
※ピーマンとしめじの和風炒め、
※鶏肉と春雨のサラダ

バランスのとれたワンプレートランチでした。近藤さん専用スタジオ!?でインスタグラム用の撮影をして完成です!

実際、いつも社食を食べている皆さんの感想をいただきました。
『健康診断の結果でコレステロール値が高かったんですが、数値が改善されました。
出来る限り早い時間に食事をとるようにし、深夜に食事をすることが減ったのと、間食(スナック菓子等)を極力食べないように気を付けるようになりました。厳しく監視されているので(笑)』
とのこと。実際に数値が下がったということも大切なのですが、社員の食生活の改善に大きく役立っていることが素晴らしいですね。

近藤さんに一言お願いしてみると・・・
『いつもありがとう。野菜もちゃんと摂取するようになったので、なんだか元気になりました。ピーマンも食べられるようになったよ(‘◇’)ゞ』

会社全体として「社員の食生活改善」を考える

頑張って仕事をする中で、どうしても食生活が不規則になってしまう社員さんたち。
残業中にラーメンを食べている人や健康診断の結果が心配なメンバーがいることを知った同社・梅本祐樹社長。温かい食事をとったほうがいいのではないか、栄養バランスに気をつけたほうが良いのではないか、との思いから、近藤さんを中心に社食サポートを始めることにしました。
「食事専用のスタッフを雇ったわけではなく、社員である近藤さんが食事作りを担当することで、社内でも会話が増え、雰囲気が明るくなったと思いますよ」と話す梅本社長。ちなみに梅本社長のお気に入りメニューは「カレー」。
「社に戻ってきて、カレーが残っていたら、ついつい食べちゃいますよね」と、にこやかに語る梅本社長の笑顔に、賑やかな社内の雰囲気が重なりました。
社食サポートを実施することで、社員の外食やコンビニ通いが減り食生活の偏りが改善したことや、同じメニューを食べることによって社内のコミュニケーションが増えたことを実感されているそうです。

社長のインタビュー中、隠し撮りする近藤さんたち。仲の良さが伺えますw

コミュニケーションとしての社食

社食を提供するようになってから、「いただきます」「ごちそうさま」の挨拶や「おいしかったです」という感想から始まる会話が活発になったと、近藤さんも実感されているそう。ピーマンが苦手な社員さんから「ピーマン食べたよ~」と報告が来るなど、同じ釜の飯を食べる仲だからこそのコミュニケーションが生まれているようです。

しおりん!いつもありがと~!!

次回は、近藤さんのおいしい「うまみレシピ」をお届けしますのでお楽しみに!