どこででも手軽に食べられて満足感もたっぷり。
誰もが思わず笑顔になる手づくりのおむすびは、
瑞穂の国に生まれたわたしたちのソウルフードかもしれません。

シンプルな塩むすびのおいしさも格別ですが、
“うまみの魔法”を少々プラスして旬の野菜でつくった“おとも”を添えれば、
おもてなしにも使えるちょっとしたご馳走に早変わり。

農家の方が丹精込めてつくったお米を
できるだけおいしくていねいにひとつに結んであげたい。
そんな思いから生まれた料理家・佐藤裕加さんの、
しみじみとおいしいおむすびをご紹介します。

うまみの濃い糠漬けはおむすびの名脇役

“おむすびの話”も3回目になりますが
これまでおむすびに必ず添えられていたのが糠漬け。
すべて鎌倉在住の料理家・佐藤裕加さんの手づくりです。
初回は定番のキュウリとニンジン。2回目がミョウガとエリンギ。
そして今回はラディッシュとゆで卵。
なかでも珍しいのがエリンギとゆで卵かもしれません。
でもこれがびっくりするほどおいしい!
エリンギは弾力が増しゆで卵はギュッとうまみが濃く、
どちらもお弁当にも最適な塩加減。
糠床があるならぜひ試してください。

もともとは旬の野菜が余ってしまうのがもったいない。
そんな思いから始めた佐藤さんの糠漬けですが、
鎌倉のシェアハウスに住むようになって状況が一変。
偶然にも4人の同居人全員が糠漬け好きだったため、
朝食には必ずといっていいほど糠漬けが登場。
多い時だと8~9種類は漬けていますが、その内容がおもしろいんです。
こんにゃくやチーズ、トマト、みかんなど、
好奇心旺盛なメンバーのリクエストでいろいろとトライ。
これもおいしい、あれもイケるかもと、
食卓を囲みながらみんなで盛り上がるそうです。

「実家では祖母から譲り受けた糠床を母が大切にしていて
私自身は触ったこともなかったんですが」
みんなの喜ぶ顔見たさに工夫をこらし、
いまではリピーター続出の糠漬け教室も開催。
その噂の糠漬けの秘密は“うまみ”。
一般的な塩、昆布、唐辛子だけじゃなく、
鰹節、干しシイタケなど天然のうまみ素材をたっぷり入れ、
ゆでて冷凍した山椒の実や生姜も加えるのが佐藤さん流です。
「鶏の胸肉など肉類も糠漬けにすると、食卓で主役級の活躍をしてくれますよ」
うまみ+発酵の日本ならではの食の知恵で、
おいしくて健康的な日々を過ごしています。

オリーブを漬物感覚でおむすびに

今回のおむすびは和洋折衷。
オリーブと生姜を和えてから具にしますが、
これが意外なほどごはんと合うのです。
考えてみれば瓶詰や缶詰のオリーブの実は、
種を抜いて塩漬けにしているのだから漬物の一種。
バルやバールでワインのおつまみとして愛されているのも、
日本の居酒屋での“おしんこ”的存在だと思えば納得。
また、きょうはさらに「だしふりかけ」をまぶし、
和風テイストのうまみをプラス。
簡単なのにおいしくて意外性もあるおむすびを
ぜひ一度つくってみてくださいね。

おむすびのつくり方

黒と緑の2色のオリーブの実は粗みじん切りに。
刻み生姜少々と和えておきます。
おむすび用のごはんは塩少々を加え
気持ち硬めに炊きましょう。
塩加減はお米3合に塩小さじ1杯と1/2が目安です。

きょうのおむすびは三角おむすびですが、
結び方のコツはいままでの丸い形のものと同じ。
濡れ布巾で拭いたまな板の上に、
小鉢にふんわり盛ったごはんをひとつずつ並べてから、
ぬらした手でごはんを包みリズミカルに結びます。
ごはん粒をつぶさないように心がけて。

だしパックの袋をやぶって黒胡麻少々を加えおむすびにまぶします。
〈うまだし〉の場合、ほどよく塩味がついているのでそのままでも大丈夫。
ものすごく簡単だけど、うまみはしっかりつくから便利です。
使ったあとのだしパックもフライパンで煎って、
酒、みりん、きび砂糖、醤油で味を補うと
天然のうまみふりかけとしても大活躍。
炒めご飯や野菜炒めもひとふりでグッとおいしくなりますよ。

刻んだオリーブと生姜を載せて完成。
生姜のぴりっとした風味と
オリーブ独特のコクと塩味でごはんのうまみもアップ。
なんともオツな味わいのおむすびになりました。

おむすびのおとも
なごめるうまみのミネストローネ

コンソメではなく和風だしでつくったミネストローネ。
実は、だしとトマトってものすごく相性がいいんです。
さっぱりとなごめる味わいで、
食欲がないときの汁ものとしては最高かも。
サラダよりも野菜をたっぷりとれるし、
だしに切った野菜を入れて煮立たせるだけなので、
パワーチャージしたい朝食時にもぴったりです。
〈うまだし〉を使えば本当に簡単でおいしくなる。
シンプルな汁ものほど、だしの差が味に出るのです。

和風ミネストローネのつくり方

野菜は冷蔵庫にあるもので十分。
きょうはトマト以外にインゲン、ニンジン、タマネギ、セロリを使い、
風味付けにニンニク1片を加えオリーブオイルを少々。
だしパックを入れて煮立たせたなかに、
食べやすく切った野菜とニンニクを入れて材料が柔らかくなるまで煮ます。
味付けは必要なら塩と黒胡椒少々。
塩辛くなり過ぎないように味見してください。
最後にオリーブオイルをひとまわし。
いいだしの香りがして心が落ち着きますよ。

博多の幸 うまだし:http://www.umadashi.jp