食育料理教室の運営をするほか、イベントやメディア出演を通じて、様々な食育活動を行う管理栄養士で上級食育アドバイザーの板垣好恵さんが、子どもの心とカラダを健やかに育む食体験の大切さをお伝えします。
親子で味わいたい「うまみレシピ」もご紹介。ぜひ親子でお試しください!
今回のテーマは「朝ごはん」です。いつも何気なく食べている朝ごはんには、子どもの成長を助ける大切な役割があります。
私たちの脳は主に「ブドウ糖」をエネルギー源としています。朝はブドウ糖が足りなくなっているため、頭がぼんやりしがち。朝食で、脳とカラダを目覚めさせましょう。
文部科学省の調査では、小学生のおよそ6人に1人が「朝食を毎日とる習慣がない」と答えています。
子どもは胃の容量が少なく1食で食べられる量も限られるため、昼食・夕食だけでは必要な栄養を補いきれません。成長期の栄養不足を避けるためにも、朝ごはんは重要です。
朝ごはんの役割は、栄養補給だけではありません。文部科学省が毎年行う調査では、朝食をとる頻度が高い子ほど、学力が高いことがわかっています。朝食のエネルギーで、午前中の間きちんと脳が働くのです。
さらに朝ごはんは「体力」とも相関があり、朝食習慣がある子ほど、短距離走や持久走が速く、瞬発力に優れていると発表されています。朝ごはんが、勉強や運動のパフォーマンス力にまで影響するとは、驚きですね。
朝ごはんの効果を発揮するためには、何をどんな風に食べればよいのでしょうか。
まずは脳のエネルギー源となるブドウ糖補給に、主食(ご飯やパン)が欠かせません。
ご飯やパンだけ食べればよいのかというと、実はそれでは不十分。栄養素はチームプレーで働くので、単体ではうまく機能しません。効率よく働かせるには、野菜やおかずからも様々な栄養を摂ることを心がけましょう。
主食と同様に大切なのが「たんぱく質」の摂取です。エネルギー代謝を促して、脳がブドウ糖を使うサポートをしてくれます。
また、骨や筋肉などのカラダ作り、貧血予防の他、集中力をキープし、学習や記憶の定着にもたんぱく質が欠かせません。
たんぱく質は肉・魚・卵・大豆製品・乳製品などから摂れますが、朝食向けには、ツナ、鮭フレーク、しらす、魚肉ソーセージ、納豆、豆腐、ヨーグルト、チーズなど手軽に食べられる物をストックしておくと良いですね。
ご飯にみそ汁、焼き魚に小鉢といった和定食はもちろん理想ですが、朝から何品も大変!という方もいますよね。まずは最低限のポイント「主食+たんぱく質」さえ押さえればOK。無理なく、朝食を習慣化することが大切ですよ。
・おにぎりの具材をたんぱく質食材(ツナ、鮭フレーク、しらす、チーズなど)に。ご飯にごま、かつお節、青のりを混ぜればさらに栄養価もUP。
・卵と余り野菜を炒めてご飯にのせて、卵丼。ツナ&納豆丼もおすすめ。
・ご飯とたんぱく質食材(ツナ、鮭フレーク、しらす、卵、ひき肉など)で雑炊やチャーハン。
・ご飯と野菜のみそ汁には、卵焼きや納豆、チーズなどたんぱく質おかずを1品プラス。
余裕があるときは、野菜や果物を追加するなど品数を増やしましょう。
主食はご飯の方が栄養バランスを整えやすくておすすめですが、パンの場合、菓子パンは避けて。サンドイッチやピザトースト、ホットドック、ヨーグルトを合わせるなど、パン+たんぱく質になるよう意識しましょう。
さまざまな素材に含まれるうまみをかけ合わせた、親子で一緒においしさを味わえるレシピをご紹介します。うまみの相乗効果の活用で、塩分控えめでも満足感はバッチリ!おとなの健康維持にもおすすめなヘルシーレシピです。
卵・しめじのうまみ「グルタミン酸」×しらすのうまみ「イノシン酸」でうまみUP!
具材をさっと卵炒めにし、ご飯にのせて丼に。朝食におすすめの1品です。
① フライパンにごま油を熱し、小房に分けたしめじ・しらすを入れてさっと炒める。
② ボウルに卵を割り入れ、(a)を加えてよく混ぜ合わせる。①のフライパンに流し入れてお好みの固まり具合になるまでふんわりと炒める。
③ 丼にご飯を盛り、②をのせる。お好みでねぎや海苔をちらして完成。
管理栄養士/上級食育アドバイザー
全国展開する料理教室にて、料理・パン・ケーキの講師業と集客営業に従事。本社へ異動後は管理栄養士としてレシピ本出版、講演、食事指導、法人タイアップ企画など多数事業に携わる。現在は、食育活動を軸としたイベント出演、レシピ開発、執筆、保育園の選任管理栄養士を行う傍ら、食の専門家を集めたユニットFoodRingの代表を務める。2019年より土浦にて食育料理教室「ぼくらのキッチン」を運営。
◆食の専門家ユニットFoodRing
https://foodring.jp/
◆食育料理教室「ぼくらのキッチン」
https://www.bokurano-kitchen.com/