心とカラダを育てる食卓
vol.13 幼児期に子どもの「かむ力」を育てよう!

食育料理教室の運営をするほか、イベントやメディア出演を通じて、様々な食育活動を行う管理栄養士で上級食育アドバイザーの板垣好恵さんが、子どもの心とカラダを健やかに育む食体験の大切さをお伝えします。
親子で味わいたい「うまみレシピ」もご紹介。ぜひ親子でお試しください!

 

子どもが夢中になってご飯を食べていると「よくかんでね」と声かけをしますよね。「かむ力」を育てることは、食べ物の消化吸収を良くするだけでなく、心身の発達にも影響する大切なものです。今回は、かむことの良さや発達との関係をご紹介します。

「よくかんで食べる」メリット

・健康な歯をつくる

かむことで分泌される唾液は、歯を強くして、口の中を清潔に保って虫歯を予防します。

・あごを発達させる

かむ動作であごの骨が大きく強く育つと、永久歯に生え変わった時の歯並びがよくなります。あごの発達はカラダ全体の筋肉にも関わり、ゆがみ防止や姿勢のよさにもつながります。

・肥満を予防する

よくかむことで満腹中枢を刺激して満腹感を得られ、肥満の原因になる食べすぎを予防します。

・味覚の発達

よくかむと食材そのものの味をしっかりと味わうことができ、味覚が発達します。きちんとかめる子は食べられる食材が多いため、栄養バランスも整えやすいです。

このほかにも、気持ちを落ち着かせて集中力を高めたり、ストレスをおさえてリラックスできるなど、かむことにはたくさんの効果があることがわかっています。

かむ力で、学力UPも!

かむ力は「脳の発達」にも深く関係します。かむことで脳が刺激され血流がよくなり、脳が活性化されるのです。幼児を対象としたとある研究では「よくかむ子ほど知能指数が高い傾向にある」「かむ力が強い子ほどワーキングメモリー(短期的な記憶)能力が高い」と報告されています。毎日の食事で当たり前に行う「かむ動作」が、頭の回転や記憶力にも影響するとは驚きですね。

幼児期からの習慣が大切

かむ練習をはじめるのに最適な時期は、2~3歳。乳歯が生えそろった頃が目安です。この時期からかむ練習をすれば、永久歯に生え変わりはじめる5~6歳にはかむ力がしっかり身に付きます。大きくなってから食べ方のクセを変えるのは大変ですから、食習慣のベースがつくられる幼児期から取り組んであげましょう。

かむ力を育てるコツ

実際に、食生活で何を意識すればよいのかポイントをご紹介します。

①「かむ回数」を増やせる食材で練習する

かたいものや粘り気・弾力のあるものなど、自然とかむ回数が増える食材を食事に取り入れることで、徐々にかむ力が高まります。
・りんごや柿など、歯ごたえのある果物
・少し歯ごたえが残る程度に加熱した大根、人参、かぼちゃなど
・きのこ、こんにゃく、団子など弾力があるもの
・ごぼう、れんこんなどかたいもの
・切り干し大根や鶏肉など繊維が多いもの など



②食材は大きめに切る

食材の切り方やサイズも大切です。子どもの食事は離乳食のなごりでひと口大にしがちですが、食材は大きめにカットした方がかむ練習になります。煮物の具材は大きめの乱切り、果物はスティック状やくし形切りに。大きめのおにぎりや、骨付きの鶏手羽元や手羽中でがぶっとかじり取る練習も、かむ力がUPしますよ。

③よく観察し、子どものペースで進める

かむ練習をはじめたら、食べている子どもの様子をよく観察してみてください。
かむ力が弱いうちは、上手くかめずにまる飲みしたり、逆になかなか飲みこめず食事が進まないことがあります。かむ力の発達スピードは子どもによって違います。上手にかめないうちはその都度食べやすく調整し、少しずつステップアップしていくことで確実にかむ力が身に付きますよ。

心身の発達も著しく、食習慣のベースがつくられる幼児期にこそ、よくかんで食べるのを習慣づけるチャンス!ご家族みんなで、楽しく取り組んでみてくださいね。

<親子でおいしい「うまみレシピ」>

さまざまな素材に含まれるうまみをかけ合わせた、親子で一緒においしさを味わえるレシピをご紹介します。うまみの相乗効果の活用で、塩分控えめでも満足感はバッチリ!おとなの健康維持にもおすすめなヘルシーレシピです。

トマトバジルソースのハンバーグ

トマトのうまみ「グルタミン酸」×肉のうまみ「イノシン酸」でうまみUP!
ジューシーなハンバーグに、フレッシュなトマトで作るトマトソースをあわせて。
暑い時期にもさっぱりといただけます♪

<材料:2人分>
(ハンバーグ)
合いびき肉 160g
塩・こしょう 少々
玉ねぎ 1/2個
溶き卵 1個分
パン粉 大さじ2
オリーブオイル 小さじ1

(トマトバジルソース)
トマト 1/2個
(a)乾燥バジル 小さじ1/2(パセリでもOK)
(a)ポン酢 小さじ1
(a)おろしにんにく 少々
(a)塩 少々
(a)オリーブオイル 大さじ1/2

<作り方>

①ボウルにひき肉・塩・こしょうを入れ粘りが出るまでよく混ぜ、みじん切りにした玉ねぎ・溶き卵・パン粉を加え混ぜ合わせたら、小判型に形をととのえる。

②フライパンにオリーブオイルを熱し、①を並べ、両面に焼き色を付ける(中火)。

③フタをして10分間加熱し(弱火)、器に盛り付ける。

④ボウルに5㎜角に切ったトマト・(a)を入れてよく混ぜたら、③にこんもりとかける。

板垣好恵 プロフィール

管理栄養士/上級食育アドバイザー
全国展開する料理教室にて、料理・パン・ケーキの講師業と集客営業に従事。本社へ異動後は管理栄養士としてレシピ本出版、講演、食事指導、法人タイアップ企画など多数事業に携わる。現在は、食育活動を軸としたイベント出演、レシピ開発、執筆、保育園の選任管理栄養士を行う傍ら、食の専門家を集めたユニットFoodRingの代表を務める。2019年より土浦にて食育料理教室「ぼくらのキッチン」を運営。

◆食の専門家ユニットFoodRing
https://foodring.jp/

◆食育料理教室「ぼくらのキッチン」
https://www.bokurano-kitchen.com/