恵みのくにへ。
vol.2 日本最大級の朝市へ・前編

野菜作りや農業で繋がる「縁」を大切にした農縁プロジェクトをはじめ、テレビやラジオで活躍中の川瀬良子さんが、豊かな食や暮らしが息づく地「恵みのくに」を訪れ、人や食との出会い、さまざま発見をレポートします。

 

こんにちは!川瀬良子です。

今回は、日本最大級の「朝市」があると聞いて、青森県八戸市へ行ってきました。

きくところによると、八戸で水揚げされたばかりの鮮魚や干物などの魚介類はもちろん、朝穫れ野菜、花、お惣菜、パン、骨董品など、とにかくいろぉ~んなものが売られているそう。
楽しみ楽しみ!早起きだってなんのその♪

青森まで遠いイメージがあったのですが、東京駅から八戸駅までは新幹線で2時間50分前後。
思っていたより近い!取材は早朝なので、前日に八戸に入りました。

訪れたのは、「館鼻岸壁朝市(たてはながんぺきあさいち)」です。
3月中旬~12月の毎週日曜日の早朝にだけ出現する大きな朝市で、全長約800メートルにわたって300以上の店が立ち並び、買い物に来る人は地元の人、観光客合わせて毎週数万人、多いときは3万人もの人出を誇る、国内でも最大級の朝市です。

ところが・・・当日は、雨。どちらかというと大雨。おまけに寒い。
朝市中止!?と思ったのですが、大丈夫でした。
出店数もお客さんもいつもの3分の1くらいとのことでしたが、それでも100店ものお店が出ていたので、楽しめそう!

ちなみに、天気の良い日の朝市の賑わいはこんな感じらしいですよ!
写真は、市の観光課からお借りしました。
お店がビッシリ!岸壁をお店と人が埋め尽くしています。
船が停泊しているのは7月~9月頃までなので、港の雰囲気を楽しみたいならこの時期がおススメなんだそうです。8月に行けて良かった〜!

早速散策へ!

さすが港町。新鮮な魚介類がいっぱい!そして、お得なお値段にもビックリ!

殻付きのホヤ、初めて見ました!
5月~8月が旬なのだそうですが、特に夏場のホヤは身が厚くうま味も増して美味しいのだそうです。昨夜、お刺身で食べたのですが、うっすら塩味でぷりっとやわらか。新鮮なものはおいしい!と感動したところでした。
それにしても、その身からは想像もできないゴツゴツとした赤紫色の殻…グロテスクです。

ふかしたてのトウモロコシ。この日は少し肌寒かったからか、この湯気に多くの人が集まっていました。

パンはもちろん、お菓子にスイーツまで売るお店もありました。

大行列を作るお惣菜屋も。中には、この朝市で人気となり、実店舗オープンするお店もあるのだとか。

夏野菜を売っているお店が何店かあったのですが、その中で面白い見た目のキュウリを発見!
ずんぐりとしていて黄色い。ゴーヤ?と思いきや、これは「糠塚(ぬかづか)きゅうり」といって、八戸の伝統野菜なんだそうです。
その土地のものに出会えるところが、市場の楽しいところですよね。
とっても気になったので、市場でお会いした生産農家さんを訪ねることにしました。
(詳しくは、後編でお伝えします!)

大人気の塩手羽の唐揚げや、おばあちゃん手作りのよもぎ餅にあんドーナツ、親指ほどの太さがある立派なアスパラガスも買いました。
晴れていたら買ったものを食べ歩いたりするのも楽しいでしょうね♪

海のものも、山のものも、八戸の恵みが勢ぞろい!
人とのふれあいや、見たことのない野菜や商品まで、何でもありな館鼻岸壁朝市。
この日はいつもよりも出店数は少なかったようですが、その分じっくりと見ることができて、お店の方ともゆっくりお話することができました。早起きする価値あり!です。

 

ところで、八戸といえば「南部せんべい」も有名ですよね。
南部せんべいは、八戸・岩手県北地方で広く食べられている、小麦と塩と水を混ぜて練った生地を丸い金型、鋳型(いがた)で焼いたもの。

なんと市内には、朝5時から9時頃までの数時間、焼き立てのせんべいとコーヒーを出してくれる「早朝せんべい喫茶」があるのだそうです。
ということで、予定よりさらに早起きをして、朝市に行く前に立ち寄ることにしました。

こちらは「上舘せんべい店(通称せんべい喫茶)」。
朝5時ですよ!?朝の5時でこの賑わい!すごい!地域の方々の交流の場になっているようです。
「朝4時から店を開けている時もあるよ」と、常連さんたちと冗談を交わしながら、せんべいを焼く上舘さん。店内には、ワハハと元気な笑い声が響きます。

鉄製の手焼き型に生地を挟んで、1枚ずつ焼いていきます。焼き餅のような香ばしい香りが!
出来立てはあつあつで素手で持てないくらいだったのですが、常連さんたちはパッと持ってパクり。
さすがです!

食べてみるとお馴染みのパリパリではなく、しっとりもちもちほわほわで、塩味がきいているお餅とパンの中間のような食感。焦げ目もこれまたおいしかった!
これは「てんぽせんべい」と言われるもので、現在は作る人がほとんどいないそうです。

古くから春から初夏にかけて太平洋沿岸に吹く冷たく湿った風「ヤマセ」のもたらす冷害・凶作に悩まされてきた八戸地域では、冷害に強い小麦や蕎麦などの栽培に力を入れ、それらを粉に挽いて食べる食文化が発達してきたそうです。と、上舘さんが教えてくれました。

あれ?てんぽせんべいの「てんぽ」ってなんだろう。
「てんぽ」って、お店の店舗?それとも速さのTEMPO??な、わけないですよね(笑)

調べてみたら、「てんぽ」とは、「足りない」「半端」というような意味で、てんぽせんべいは「焼きが足りてないせんべい」のことなんだそうです。
とはいえ、生焼けということではなくパリッと焼き上げずに、ふっくらと焼き上げて作る、とのことです。へぇ~!作り方違うんですね。

てんぽせんべい1枚50円。コーヒー200円。上舘さんと常連さんたちの愉快な会話。
早朝から元気をたっぷりいただきました。

せんべい喫茶から朝市を巡っても、まだ朝の8時!時計を見て驚きました。
最近流行りの朝活よりもずーっと前から、八戸のみなさんは朝から元気に活動していたんですねー!これが八戸のみなさんの元気の源なんだろうな〜!

後編では、八戸の地場野菜ずんぐり黄色の「糠塚きゅうり」の生産者さんを訪ねます。
お楽しみに♪

 

次ページに続きます。

 

〈館鼻岸壁朝市〉
開催日時:2018年3月中旬~12月までの毎週日曜 日の出~9時頃
※(5月に休市あり。年に数回臨時開催あり)
◎自動車:八戸自動車道八戸ICから20分、八戸駅から25分、八戸市中心街から10分
◎鉄道:JR八戸線陸奥湊駅から徒歩10分
◎バス:日曜朝市循環バスいさば号「館鼻漁港前」下車
川瀬良子 プロフィール

静岡県静岡市出身。
タレント、ラジオパーソナリティ。
16歳でモデルデビュー。2010年 NHK 「やさいの時間」の出演をきっかけに、野菜作りや農業への興味が深まり、農業の活性化や農家と消費者を繋ぐ「農縁プロジェクト」を立ち上げる。現在、NHK「趣味の園芸 やさいの時間」TFM&JFN「あぐりすむ」「あぐりずむ WEEKEND」「暮らしのいきものずかん」などのパーソナリティとしても活躍。自身のプランター栽培での"つまずき"を元にした書籍「川瀬良子のプランター野菜」発売中。