恵みのくにへ。
vol.6 ~世界の野菜が育つ畑へ~

野菜作りや農業で繋がる「縁」を大切にした農縁プロジェクトをはじめ、テレビやラジオで活躍中の川瀬良子さんが、豊かな食や暮らしが息づく地「恵みのくに」を訪れ、人や食との出会い、さまざま発見をレポートします。

 

こんにちは!川瀬良子です。
今回は、海外の珍しい野菜を栽培している農家さんがいると聞き、千葉県四街道市へ行ってきました。

訪ねたのは、野菜農家キレドさん。
2400坪のこちらの畑では、イタリアを中心とした西洋野菜やアジアの野菜を、常時20〜30種、年間では150種以上も作っているそうです。

代表のクリタタカシさんが畑を案内してくれました。

畑と青空が似合うカラフルなファッション!穏やかな笑顔!
そんなクリタさんを見て、きっとここは楽しい畑なんだろ〜な〜と、ワクワクしました♪

多種類の野菜が育つキレドさんの畑

 

クリタさんの畑には、無数の畝に、いろーんな野菜の苗が!

わたくし川瀬、野菜作り歴10年目!そしてお仕事で、これまでたくさんの畑を訪れてきましたが、この規模の畑で、こんなに様々な種類の野菜が植えられている畑はあまり見たことがありません。

作業小屋の屋根から畑を眺めてみると、麦?ソラマメ?ジャガイモ!?など、葉や背丈、株の形が違う野菜が並んでいて、新鮮な光景!
なぜこんなにいろいろな種類を?とお聞きすると、

「単純に、食いしん坊だからです(笑)。僕の畑は、家庭菜園を大きくしたようなものですよ。自分が食べたい野菜を育てて、それを皆さんにお裾分けしているような感じです」

名付けて“食いしん坊農家さん”。
そのまんまですかね(笑)

でも、このお気持ち、すっごく共感できます!
私も野菜作りのベースには、食いしん坊があります(笑)。
「自分で育てる場合、オススメの野菜はなんですか?」と聞かれることが多いのですが、「好きな野菜、食べたい野菜を育ててみて下さい」と、答えているんです。
食べたい!おいしく育てたい!と言う気持ちがあると、育てるモチベーションがぜんぜん違ってくるんですよね。
なので私は、大好きなミニトマトは毎年欠かさず育てていますよ♪


イタリアのそら豆「ファーヴェ」

 

まずは、イタリアのそら豆「Fave(ファーヴェ)」
この時期、クリタさんが一番好きな野菜なんだそうです。
お馴染みのそら豆は、さやの中に3粒ほどしか入っていませんが、このファーヴェは、さやは細身ですが、中に6〜7粒も入っているんです 。
さやを開いて見てみると、小粒で可愛い豆が。

そして、なんとファーヴェは、生で食べるものなんだそうです。
その場で食べさせていただくと、小粒なので薄皮もパリッとしていて気にならない。水分たっぷりで甘くて美味しい!なんじゃこりゃ!

ちなみに、イタリアのローマには、毎年5月1日に「ペコリーノの日」というお祭りがあって、このファーヴェにペコリーノチーズをたっぷり振りかけて、白ワインと一緒に楽しむのだそうです。
日本ではビールに枝豆だけど、イタリアではファーヴェにチーズ&ワイン。
クリタさんは、これを自分でもやりたくて、ファーヴェを育てたのだとか。実際に畑で 「ファーヴェ食べ放題の会」を開催したこともあるそうです。

トロペア

 

こちらはイタリア原産の赤いタマネギ「トロペア」。
収穫させていただくと…あれ?タマネギなのに丸くない。まだ早かったのかな?と思ったら、円錐のような形になる品種なんだそうです。
加熱するとねっとりした食感になって、出汁感が強いので、ジャムやスープ、煮込みなど、とろみのある料理に向いているのだそう。

「このタマネギの根を食べてみてください」とクリタさん。
え、根っこを食べるのですか!?
1本ムシャムシャ食べてみると…なんとタマネギの味そのもの!
(タマネギ本体よりも辛い…!)


スナップエンドウ

 

こちらはお馴染みのスナップエンドウ。
こちらも、収穫してそのまま食べてみてると… 感想は、水!
瑞々しさと甘さにびっくり!
スナップエンドウは、必ず筋をとってから調理しますが、クリタさんのスナップエンドウは生で食べてもまったく筋が気にならないんです。

生でこんなに美味しい野菜たち、料理したら、それは美味しいだろうな〜!
どうしてこんなに美味しいんだろう…?
“採れたて新鮮”以外にも理由がありそうです。

「美味しさに辿り着けるなら、どんな方法でも試してみますよ」とクリタさん。
野菜が喜ぶ土になるよう、牡蠣殻など海のものを土に入れて、ミネラル豊富な土にしているんだそう。
「ほとんど追肥はしないです。野菜の生命力を信じるということですね」

また、数年に一度はイタリアへ趣き、現地で野菜を食べて、自分の作った野菜の味との違いを確認し、その味に近づけられるよう今でも試行錯誤を続けているそうです。


真っ白な花を咲かす大根。茎の下には大根の実が顔を出しています。

 

旬を迎えている作物の間に、白い花を咲かせている野菜がありました。
なんと、これは大根の花!
背丈も130cmくらいに伸びています。
花が落ちたところには、小さな緑の膨らみがありタネも出来始めていました。

「花とタネを食べてみてください」
花もタネも大根の辛味があり、水分を含んでいるので大根おろしの様な味でした!
どこを食べても大根の味がするとは、大発見です!

普通、大根は収穫してしまったらそれで終わりですが、あえてそのままにするクリタさん。
「初めて育てる野菜は収穫後も花を咲かせて種ができるまで育てて、その野菜の一生をみるようにしています」
クリタさんは、実は花の方が美味しいのでは?タネの方が美味しいのでは?と食べてみて部位ごとの個性を知り、料理にどう使うかなどを考えるそうです。
ひとつの野菜でも、楽しみ方が広がりますね〜!

「アーティチョーク」は、植えた年は花がつかないなど、育てるのが難しい野菜

 

このほかにも、イタリア原産の黒キャベツ「カーボロネロ」、つぼみを食べる「アーティチョーク」、イタリアの古代麦、水分が多く甘みたっぷりのタマネギ「ハワイアンオニオン」、シーザーサラダでお馴染みのロメインレタスなどの西洋野菜をはじめ、じゃがいもやかぶ、春菊など日本の野菜も育っていました。


ハーブ畑。

 

さらに、ハーブ類が20種ほど。
育っている姿をなかなか見ることのないルバーブ(よくジャムになっているのを見かけますよね)、フェンネルなどなど。花を咲かせたコリアンダーやルッコラは、花も食べられるので、料理の彩りや味のアクセントに使うのだそうです。

畑の中で、料理の仕方、食べ方までこんなに詳しく教えてくれる農家さんに出会ったのは初めてです!
栽培技術も大切ですが、野菜を買うときって、“どうやって食べるんだろ”ってことを一番に考えますもんね。

珍しい野菜やハーブがたくさん育つ畑は、この畝にはどんな野菜?なんの料理に使うの?とワクワクが止まらなくて、案内して下さるクリタさんご自身も、とっても楽しそうなんです。

「同じ作物を育てる場合は作業も一斉にできますが、これだけ違う野菜があると、育ち方が違うから大変じゃないですか?」
「面倒なんて思ったこと一度もないですよ」

クリタさんは、ご出身は千葉県ですが、農業を始める前は金沢市で6年間システムエンジニアをされていたそう。
そのころ通っていたレストランで使われている珍しい野菜の奥深さにはまり、その美味しさを求めて、地元農家さんに師事しながら家庭菜園をスタートしたそうです。
そこで野菜作りの楽しさに目覚めたクリタさん!
野菜作りを生業にしたいと考えるようになり、満を持して、出身地である千葉県に戻り、西洋野菜の生産では第一人者でもある浅野 悦男さんに師事し、7 年前に独立したそうです。

クリタさんは、まさに、野菜作りという“天職”に出会ってしまったんですね!


ランチのサラダ用に藤化粧カブを収穫中

 


畑に隣接した“畑のレンタルスタジオ”でランチ作りをお手伝い

 

クリタさんは、ほぼ毎日、ご自分で育てた野菜を使ってランチを作り、スタッフの皆さんと食べているそうです。
そんなランチを、今日は一緒に作らせていただくことになりました!

まずは、赤いタマネギの「トロペア」と、赤いじゃがいも「ノーザンルビー」と「パープルにんじん」の ストゥファート(イタリアの蒸し煮)。
トロペアは、実はもちろん葉、根も使います。ざく切りにした野菜とニンニク、塩を鍋に入れ、オリーブオイルをたっぷり注いで蒸します。

そしてファーヴェとスナップエンドウ、藤化粧カブ、春菊はサラダに。
摘んできたばかりのミントをたっぷり刻んで、味のアクセントにしました。
ロメインレタスは、半分にして切り口を下にして、フライパンで素焼きに。
そこにオリーブオイルと石川県の魚醤「よしる」 をふりかけるだけのシンプルな味付けでいただきます。

ストゥファート(蒸し煮)にはコリアンダーの花を添えて

 

野菜の赤紫色がキレイなストゥファートには、摘んできたコリアンダーの白い花を添えました。
トロトロになったトロペアは、辛味が抜けて甘〜い味わいに。ホクホクのじゃがいもやコリアンダーとの相性もバッチリです。
サラダは、ザク切りにしてたっぷり入れたミントがよく合う!
特に、生のスナップエンドウとミントの組み合わせ、絶妙です!
スナップエンドウを収穫しながらクリタさんが、「これね、ミントとよく合うんですよ」って言ってたんですよね。なるほど、納得の美味しさです!
焼いただけのロメインレタスは、焦げ目が特に甘くて、魚醤のうま味とピッタリ!

新鮮なものって、シンプルな調理、味付けで十分に美味しいですね。
ごちそうさまでした!

クリタさんは、レストランで使われることが多いこうした珍しい西洋の野菜を、多くの人に身近に楽しんでもらいたいと、家庭向けに野菜を販売されているそうですよ。

また、畑に隣接したこの空間は、“畑のレンタルスタジオ”として貸し出しも行っているそうです。
「今までは都心のイベントに出店することが多かったんです。でも、それだけでは、ここでやっている意味がないんですよね」
このレンタルスタジオを作ったのも、地元の皆さんとの接点を作りたい、という想いもあったからだそうです。
「この土地でやっているからこそ、この地域の人たちに食べてもらいたい。ここでの活動に時間を使いながら、地域と関わっていきたいですね」
キレドさんでは、「珍しい野菜の料理教室」や収穫体験などのイベントを開催し、畑や野菜の楽しさを多くの人たちに伝えながら、地元の方との交流を深めているそうですよ。

今回は、彩り豊かなクリタさんとその畑に、「恵みのくに」を発見しました。
野菜と地域をこよなく愛するクリタさん、ありがとうございました!

 

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【キレド】
https://www.kiredo.com/

キレドの野菜を使ったランチを楽しめるお店
「キレドベジタブルアトリエ」もあります。
https://www.kiredo.com/atelier
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衣装協力:AIGLE

川瀬良子 プロフィール

静岡県静岡市出身。
タレント、ラジオパーソナリティ。
16歳でモデルデビュー。2010年 NHK 「やさいの時間」の出演をきっかけに、野菜作りや農業への興味が深まり、農業の活性化や農家と消費者を繋ぐ「農縁プロジェクト」を立ち上げる。現在、NHK「趣味の園芸 やさいの時間」TFM&JFN「あぐりすむ」「あぐりずむ WEEKEND」「暮らしのいきものずかん」などのパーソナリティとしても活躍。自身のプランター栽培での"つまずき"を元にした書籍「川瀬良子のプランター野菜」発売中。