心とカラダを育てる食卓
vol.5 乳幼児期は魚を食べて「育脳」しよう!

食育料理教室の運営をするほか、イベントやメディア出演を通じて、様々な食育活動を行う管理栄養士で上級食育アドバイザーの板垣好恵さんが、子どもの心とカラダを健やかに育む食体験の大切さをお伝えします。
親子で味わいたい「うまみレシピ」もご紹介。ぜひ親子でお試しください!

 

子どもにはかしこく育ってほしいと思うのが親心。そのために、脳を健やかに育てる「育脳」が注目されています。今回は、毎日の食事で脳を育てるポイントをご紹介していきます。

「育脳」は6歳までが大切!

脳の成長というと勉強をはじめる小学生以降が大切と思われがちですが、実は爆発的に育つのは6歳まで。脳神経はママのおなかにいる頃から作られ始め、6歳までに9割が完成します。つまり!乳幼児期こそが、かしこい脳を育てる「育脳」のチャンスタイム。
この時期に、
・さまざまな体験や学習で脳に刺激を与えること
・脳をつくる材料となる栄養素をしっかり摂ること
が、健やかな育脳をサポートします。


(出典:「頭のいい子が育つ食事」小山浩子著/日本実業出版社)

脳をつくる材料って?

私たちの脳の60%は脂肪でできていて、その主成分は「DHA」という脂肪酸です。
DHAは体内で合成することができないので、食事から摂る必要があります。魚の脂に多く含まれているため「DHAの摂取源=魚」と覚えておけばOKです。
脳をつくる材料となるDHAは育脳に欠かせず、学習や記憶力UP、さらには読み書きの力が伸びるといった研究結果も報告されています。脳が急激に発達する乳幼児期は、魚料理で習慣的なDHA摂取を心がけましょう。

【DHAを多く含む魚】
さんま、さば、あじ、まぐろ、いわし、ぶりなどの青魚に特に豊富です。その他、鮭、うなぎ、かれい、ひらめ、いかなど、魚介類全般に含まれます。

赤ちゃんはどうやって摂る?

「育脳には魚のDHA!」とわかったけど、魚を食べられない赤ちゃんはどのように摂ればよいのでしょうか。まず、授乳期の赤ちゃんはママの母乳を通してDHAを摂ります。ママが日々の食事で魚を食べることで、DHA豊富な母乳になりますよ(ミルク育児の場合、ほとんどの粉ミルクにはDHAが配合されています)。離乳食がスタートしたら、月齢に合わせて魚を取り入れていきます。鯛・ひらめなどの白身魚から始めて、後期になるとさんま・あじなどの青魚も食べられるようになります。少量なので、大人用の刺身を取り分けて離乳食に使うのがおすすめです。

幼児期は、缶詰や加工食品も活用して

幼児食になると献立や味付けも大人に近づき、照り焼きや煮魚、ホイル焼きなどバリエーションも増えますね。青魚にこだわらず、魚を食べる習慣を付けましょう。
毎日食べる!となるとハードルが高く感じますが、そんなことはありません。ツナ・鯖などの缶詰や、しらす・ちりめんじゃこを常備しておけば、混ぜご飯やおにぎりの具、サラダのトッピング、スープや炒め物など手軽にDHAが摂れますよ。ちくわや魚肉ソーセージもDHAの摂取源です。パッケージを見て、なるべく塩分や添加物の少ないものを選ぶようにしましょう。

子どもから高齢者までの「育脳」

DHAが必要なのは乳幼児期の子どもだけではありません。発達ピークが過ぎてからもゆるやかに脳は成長し続けますし、記憶力UP、頭の回転を速くするのにも役立つDHAは何歳になっても摂り続けたいものです。近年は、認知症予防の栄養素としても注目されています。子どもから高齢者まで、毎日の食事に魚料理を取り入れて、コツコツとDHAを摂っていきましょう!

<親子でおいしい「うまみレシピ」>

さまざまな素材に含まれるうまみをかけ合わせた、親子で一緒においしさを味わえるレシピをご紹介します。うまみの相乗効果の活用で、塩分控えめでも満足感はバッチリ!おとなの健康維持にもおすすめなヘルシーレシピです。

れんこん入り鯖ハンバーグ

れんこんのうまみ「グルタミン酸」×鯖のうまみ「イノシン酸」でうまみUP!
鯖の缶詰をつかったお魚ハンバーグです。刻んだれんこんを入れて、うまみたっぷり♪シャキシャキ食感も楽しめます。

<材料:2人分(4個)>
鯖の缶詰(水煮) 1缶(190g)
れんこん 50g
玉ねぎ 1/4個
(a)卵 1個
(a)パン粉 大さじ4
(a)おろししょうが 小さじ1/2
(a)塩・こしょう 各少々
オリーブオイル 小さじ1
(b)鯖缶の汁 大さじ1
(b)しょうゆ 大さじ1
(b)みりん 大さじ1
(b)酒 大さじ1

<作り方>

① 鯖の缶詰は身を取り出し、水気を切る。れんこんは粗みじん切り、玉ねぎはみじん切りにする。

② ボウルに①・(a)を入れてしっかりと混ぜ合わせ、4等分にして小判型に成形する。

③ フライパンにオリーブオイルを熱し、②を並べる。焼き色が付いたら裏返し、フタをして蒸し焼きにし(約5分)、器に盛り付ける。

④ 同じフライパンに(b)を入れて熱し、ひと煮立ちさせて煮詰める(約1分)。③にまわしかけたら完成。

板垣好恵 プロフィール

管理栄養士/上級食育アドバイザー
全国展開する料理教室にて、料理・パン・ケーキの講師業と集客営業に従事。本社へ異動後は管理栄養士としてレシピ本出版、講演、食事指導、法人タイアップ企画など多数事業に携わる。現在は、食育活動を軸としたイベント出演、レシピ開発、執筆、保育園の選任管理栄養士を行う傍ら、食の専門家を集めたユニットFoodRingの代表を務める。2019年より土浦にて食育料理教室「ぼくらのキッチン」を運営。

◆食の専門家ユニットFoodRing
https://foodring.jp/

◆食育料理教室「ぼくらのキッチン」
https://www.bokurano-kitchen.com/