心とカラダを育てる食卓
vol.2 野菜ギライは“かつおだし”で克服しよう

食育料理教室の運営をするほか、イベントやメディア出演を通じて、様々な食育活動を行う管理栄養士で上級食育アドバイザーの板垣好恵さんが、子どもの心とカラダを健やかに育む食体験の大切さをお伝えします。
親子で味わいたい「うまみレシピ」もご紹介。ぜひ親子でお試しください!

 

こんにちは! 板垣好恵です。
今回は、子どもが苦手な野菜が多くて困っている・・という方へ。「かつおだし」を活用した野菜克服アイディアをご紹介します。

子どもが野菜ギライなのはなぜ?

野菜は独特の苦みや酸味、青臭さを感じるものが多く、子どもにとって食べにくい食材です。味覚の構造上も、苦みや酸味は「毒があるかも」「腐っているかも」と、カラダに害を与えるネガティブな要素として受け取るため、本能的にも好まれない味なのです。食経験によって味覚の領域は広がりますから、少しずつ慣れさせることで受け入れられるようになりますよ。

うまみの相乗効果

子どもに野菜を食べさせる工夫として、細かく刻む、すりおろすなど色々なテクニックがありますよね。今回私がおすすめしたいのは、野菜×かつおだしの「うまみの相乗効果」を活用した方法です。うまみの相乗効果とは、特定のうまみ成分を組み合わせると、単品で食べるよりもうまみが数倍に強く感じられる現象のことをいいます。
かつおだしには「イノシン酸」といううまみ成分が豊富で、一方野菜に含まれるうまみ成分は「グルタミン酸」です。両者を組み合わせることで、うまみが飛躍的にUPします!これが「うまみの相乗効果」です。

苦手な野菜には「かつおだし」を

この仕組みを活用し、野菜料理にかつおだしを合わせてみましょう。もっとも手軽でおすすめなのは、かつおだしで野菜を煮る(茹でる)こと。煮ることで苦味やえぐみが和らぎ、食感もやわらかくなります。また、炒め物や揚げ物などの高温調理と違ってゆるやかに加熱できるので、野菜の甘みも引き出せます。
かつおだしで煮ることは、「うまみの相乗効果+野菜のおいしさを引き出す調理法」ということです。かつおだしのみそ汁で野菜を茹でてみるのも良いですね。うまみが増し、みそのコクや風味が加わった野菜は、きっといつもよりおいしく食べられると思います。

★参考★
ちなみに…昆布だしのうまみ成分は野菜と同じグルタミン酸。残念ながら相乗効果は期待できません。野菜のうまみUPを狙うなら、かつおだしがおすすめです。

おすすめ実践法

この他にも、子どもの料理作りにかつおだしを取り入れてみましょう。

(茹でる)→温野菜、汁物
温野菜はかつおだしで茹でて作り置きに。
(漬ける)→揚げびたし、煮びたし
素揚げした野菜をかつおだしに漬けて。
茹で野菜をかつおだしに漬けてマリネ風にしても。
(和える)→ごま和え、おひたし、サラダ
生野菜にかつおだしを和えて、ドレッシング代わりに。
(炊く)→炊き込みご飯
野菜たっぷりの炊き込みご飯や雑炊も、かつおだしで炊けばうまみUP!

子どもに食の好みが出てくることは「成長と発達の証」でもありますし、食べられないものがあっても深く悩む必要はありません。
しかし、食わず嫌いで食べ物のおいしさを知る機会がなかったり、食べてみたい!という気持ちを持てないのは少しもったいないとも思います。今回ご紹介した「野菜×かつおだし」を、ぜひご家庭でも体験してみてくださいね。

<親子でおいしい「うまみレシピ」>

さまざまな素材に含まれるうまみをかけ合わせた、親子で一緒においしさを味わえるレシピをご紹介します。うまみの相乗効果の活用で、塩分控えめでも満足感はバッチリ!おとなの健康維持にもおすすめなヘルシーレシピです。

トマトとアスパラのかきたま汁

トマト・アスパラガスのうまみ「グルタミン酸」×かつおだしのうまみ「イノシン酸」でうまみUP!かつおだしで野菜をさっと茹でてうまみを引き出し、溶き卵を加えてふわふわのかきたま汁に仕上げます。

<材料:4杯分>
トマト 1個
アスパラガス 2本
溶き卵 2個分
味噌 大さじ2
[かつおだし]
かつおぶし 25g
水 800cc

<作り方>

① トマトはくし形切りにする。アスパラガスは根元のかたい部分を切り落とし、ピーラーで皮を4~5cmむき、斜め切りにする。

② 鍋に水を入れて沸騰させる。火を止めてかつおぶしを加えて1~2分おいたら、布やキッチンペーパーでこす。

③ 鍋に③のかつおだしを戻し入れて加熱し、トマト・アスパラガスを加えて火が通ったら味噌を溶き入れる。

④ 溶き卵をまわし入れて、ふんわりとひと混ぜし、器に盛り付ける。

板垣好恵 プロフィール

管理栄養士/上級食育アドバイザー
全国展開する料理教室にて、料理・パン・ケーキの講師業と集客営業に従事。本社へ異動後は管理栄養士としてレシピ本出版、講演、食事指導、法人タイアップ企画など多数事業に携わる。現在は、食育活動を軸としたイベント出演、レシピ開発、執筆、保育園の選任管理栄養士を行う傍ら、食の専門家を集めたユニットFoodRingの代表を務める。2019年より土浦にて食育料理教室「ぼくらのキッチン」を運営。

◆食の専門家ユニットFoodRing
https://foodring.jp/

◆食育料理教室「ぼくらのキッチン」
https://www.bokurano-kitchen.com/