心とカラダを育てる食卓
vol.4 五感を活かし、食べる意欲を引き出そう

食育料理教室の運営をするほか、イベントやメディア出演を通じて、様々な食育活動を行う管理栄養士で上級食育アドバイザーの板垣好恵さんが、子どもの心とカラダを健やかに育む食体験の大切さをお伝えします。
親子で味わいたい「うまみレシピ」もご紹介。ぜひ親子でお試しください!

 

今回は、料理のおいしさを感じる要因である「五感」に着目し、子どもの食への興味や食べる意欲を引き出すポイントをご紹介します。

「五感」とおいしさの関係

五感とは味覚・視覚・嗅覚・聴覚・触覚の5つの感覚のこと。私たちが「おいしさ」を感じるとき、味覚(舌で感じる味)だけではなく、見た目や香りなども関係するのはご存知かと思いますが、驚きなのはその割合です。

・視覚 83%
・聴覚 11%
・嗅覚 3.5%
・触覚 1.5%
・味覚 1%

なんとおいしさの判断は、8割以上が「視覚」からの情報と言われています。たしかに目をつぶって食べても味がわかりにくかったり、同じ料理でもキレイな食器に盛られたレストランの食事や、いつもと違う景色で食べるバーベキューはいっそうおいしく感じられますよね。料理は味だけでなく、あらゆる五感を意識することで、さらにおいしさを楽しめるようになります。

視覚とおいしさ

五感の中でも「視覚とおいしさ」は特に密接に関係しています。子どもの食欲を引き出したり好きな食べものを増やすには、視覚をうまく活用しましょう。
例えば食材の色。暖色系(赤やオレンジ、黄色など)は甘みやうまみを強く感じさせ、食欲を増進させてくれます。料理に人参やかぼちゃ、いちごやオレンジなどを用いたり、食器やカトラリーも暖色系を選ぶと効果的。食卓に取り入れることで、視覚から「おいしい!」を引き出せます。

*逆に、寒色系(青や水色)は食欲を減退させると言われています。好き嫌いが多い子・少食の子の食器やカトラリーに、寒色系はあまりおすすめではありません。

五感を活かした子どもの料理

この他にも、子どもの食欲を引き出すために家庭で取り組めることはたくさんあります。

・食材を型抜きし、ワクワク感を
100円ショップなどのクッキー型で、人参や大根、いも類などを子どもの喜ぶ形(ハートや星、キャラクター)にしてあげましょう。温野菜や煮物に使えば、見た目の可愛さでワクワクが増し、よりおいしく感じられます。ハムやチーズも可愛く型抜きし、サラダのトッピングや、お弁当にも。

・ホットプレートの活用
目の前で調理できるホットプレートは、食育に絶好のアイテムです。
ジューッと焼ける音や炒める音、おいしそうな匂いが五感を刺激して食欲もUP。チャーハンやハンバーグ、餃子、炒め物など、いつもはフライパンで作る料理も時々はホットプレートで作ってみてもよいですね。

・「料理のお手伝い」が五感を刺激
サラダのレタスをちぎったり、カットしたきゅうりやトマト、ツナやコーンを自由に盛り付けさせてあげましょう。食材に触れ、絵を描くように色鮮やかに盛り付けることは、食べる意欲だけでなく、想像力も広がります。オムレツや卵焼きなどの「卵を割る」「かき混ぜる」をお手伝いしてもらうのもおすすめです。

「おいしい食体験」が味覚を広げる

子どもの味覚は、食体験からの学習によって広がります。
赤ちゃんは酸味や苦味を嫌いますが、何度も食べて味を覚えることで受け入れられるようになりますよね。子どもの好き嫌いも、おいしい味・知っている料理と認識させてあげることが克服につながります。
五感を意識した料理で食べる意欲を引き出し、子どもに「おいしい食体験」をたくさんさせてあげましょう。その積み重ねが、きっと味覚の開花につながりますよ。

<親子でおいしい「うまみレシピ」>

さまざまな素材に含まれるうまみをかけ合わせた、親子で一緒においしさを味わえるレシピをご紹介します。うまみの相乗効果の活用で、塩分控えめでも満足感はバッチリ!おとなの健康維持にもおすすめなヘルシーレシピです。

きのこの豚肉巻き

きのこのうまみ「グルタミン酸」×豚肉のうまみ「イノシン酸」でうまみUP!
旬のきのこを豚肉で巻いて焼き、甘辛いタレで味付けします。子どもも好きな味で、お弁当にもおすすめ♪

<材料:2人分>
豚ロース薄切り肉 8枚(200g程度)
塩・こしょう 各少々
ぶなしめじ 1/2パック
えのきだけ 1/2袋
片栗粉 適量
バター 10g
(a) きび砂糖 小さじ1
(a) 酒 大さじ1
(a) しょうゆ 大さじ1・1/2
(a) みりん 大さじ1

<作り方>

① 豚肉は塩・こしょうで下味を付け、しめじ・えのきだけは石づきを取り1/8ずつにわける。

② 豚肉にしめじ・えのきをのせてしっかりと巻き、表面に片栗粉をまぶす(8個作る)。

③フライパンにバターを熱し、巻き終わりを下にして②を並べる。転がしながら表面に焼き色を付け、フタをして弱火で蒸し焼きにする(約5分)。

④余分な油をペーパーでふき、(a)を加えてよく絡めたら完成。

板垣好恵 プロフィール

管理栄養士/上級食育アドバイザー
全国展開する料理教室にて、料理・パン・ケーキの講師業と集客営業に従事。本社へ異動後は管理栄養士としてレシピ本出版、講演、食事指導、法人タイアップ企画など多数事業に携わる。現在は、食育活動を軸としたイベント出演、レシピ開発、執筆、保育園の選任管理栄養士を行う傍ら、食の専門家を集めたユニットFoodRingの代表を務める。2019年より土浦にて食育料理教室「ぼくらのキッチン」を運営。

◆食の専門家ユニットFoodRing
https://foodring.jp/

◆食育料理教室「ぼくらのキッチン」
https://www.bokurano-kitchen.com/