ニッポンふるさとごはん帖
vol.3 どんどろげ飯~鳥取県~

料理家、写真家として全国を飛び回り、各地に根ざした食材や料理を食べてきたminokamoさんの、ごはん旅日記。
幼い頃の食の記憶、旅で出会った珍ごはんや地元の方々の触れ合いなど食の思い出を綴ります。

 

こんにちは、minokamoです。
今回ご紹介するのは、鳥取県の中部から東部にかけて山村で作られてきた郷土食、その名もどんどろげ飯。

どんどろげ・・・?! ちょっと聞きなれない、おどろおどろしい響き。
どんどろげとは鳥取県の方言で「雷」の意味で、「どんろげ飯」は豆腐が入った炊き込みご飯のこと。豆腐を炒める時のパチパチッとした音からこの名前がついたそうで、ちょっと面白い!

豆腐の材料となる大豆は、元々は田んぼのあぜ道で作られ、味噌はもちろん、呉汁と言われる大豆をすりつぶした汁など、山間の貴重なタンパク質として、大豆を使った料理が広まりました。昔は各村に豆腐小屋があり、手間がかかる豆腐作りはみんなで集まり作っていたそう。

さて、どんどろげ飯を地元のお母さんたちに作っていただきました。
材料は水切りした木綿豆腐、油揚げ、蒟蒻の他、野菜はごぼう、人参、青ねぎなど。

最初に豆腐を炒め、香ばしさとコクを出します。
油をひいて熱したフライパンに、豆腐を入れると…バチバチバチッ、これこそどんどろげ!
雷にもきこえる、気分も期待も高まる元気良い音が聞こえてきました。

続いて、青ネギ以外の具材も入れ炒めたら、醤油、出汁を入れ煮ます。これをお米と一緒に炊き上げ、器に盛ったら仕上げに青ネギをかけて出来上がり。

いただくとお肉は入っていないのに、豆腐の歯ごたえが程よくあり、ごぼうの旨味も感じられる満足感たっぷりのご飯っ。
元々はお祝いの場やお寺の精進料理として作られたり、地主さんが代満(しろみて=鳥取弁で、しろは田植え、みては終了の意)など田仕事の区切りがついた時に、どんどろけ飯をふるまい労ったそう。田園の美しい景色を眺めながら作業を終えてホッとしつつ、いただくどんどろげ飯、さぞかし美味いだろうなぁ!

こちらのご飯は、通常の炊き込みご飯の鶏肉を水切り豆腐に代えるだけ。鶏肉を入れなくても美味しいので、おすすめですよ!

minokamo (長尾明子) プロフィール

岐阜県美濃加茂市出身。料理家、写真家。「ごはんで町を元気に!」をテーマに、各地でその土地に根差したメニュー開発、キッチンプロダクトのフードコーディネート、雑誌へのメニュー提案ほか、各世代がつながるイベントも開催。味噌料理も得意とする。各地の郷土食を取材し、紹介する活動も行っている。